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2013.03.31 Sunday

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2011.07.17 Sunday

「みにくいアヒルの子・2馬力」


フランスという国はワタシにとってその大部分を「クルマ」という工業製品を通して、未だに見ている場所であり文化である。とりわけファッションや芸術は長きに渡ってその中心的存在で現在に至っても様々な事象にそのエスプリはついてまわる。ややもすると個人主義的であったり言語の発音と同じくある種「まどろっこしさ」を感じたり、思考や哲学は理屈っぽくめんどくさいイメージを持つのはワタシだけではないでしょう。しかし、意外なことに自動車という工業製品から見るフランスとは案外合理的な思考であることに気付かされる。まぁ、その合理的な部分の捉え方も一筋縄ではいかない偏屈なオリジナリティーに溢れているのだけれども・・・。

幼少のワタシの写真を見ますれば、すでにハサミや金槌を持っており何かを作っている画像もしくはミニカーや大きめのダンプにスコップで砂を積んでいる、そんな子供でした。齢40も超えたというのに「何も変わらない」ワタシとは一体!?将来何の仕事をしたいかの両親の問いに「ゴミ屋さん」と答えているその真意は第一に車が好きな事、第二に収集したゴミを大きな回転板が圧縮しているギミックの様がかっこよかった事。今自分で考えても笑ってしまいます、だって普通「スポーツ選手」とか「お医者さん」とか言うんじゃないですか?それがゴミ屋さんですよ!

時は過ぎ、大学生になったワタシはその夏すぐに合宿で自動車免許を取得し、米屋さんでアルバイトをしながら車の運転を覚えました。ですので未だにマニュアルトランスミッションな訳で・・・。ATは怖いんです。で、何時何処で知ったのかはもう定かではないのですが、一台の車に憑りつかれるのです、「シトロエン 2cv」。工業デザイナーを目指していた美大生時代のワタシのクロッキーにはすでにその車の絵ばかりが描かれてます。そうこうしているうちに4年の学生時代も卒業を目前にしたバブルの弾けた「超就職氷河時代」の就職先も決まらぬワタシに悪友からのある連絡が・・・。それは夢見ていた「シトロエン 2cv」を手放したい知り合いがいる、と。

「シトロエン 2cv」とはアニメ「ルパン三世・カリオストロの城」で序盤、クラリスが侯爵のしもべに追われてカーチェイスしているシーンに出てくるピンクのあの車、と言えば解る方も多いかと。1935年秋、当時シトロエンの副社長だったピエール・ブーランジェはすでにモータリゼーションの波が来ているにもかかわらず、片田舎の農夫たちが未だに手押し車を使っていることに驚き、すぐに庶民が買える車作りを実行に移します。それは「こうもり傘に4つの車輪が付いていて、2人の大人と50圓里犬磴いもを積んで最高速度60km/hで走れて5リッターの燃料で100km走行可能で、農道などでもバスケットに積んだ卵が割れない乗り心地と女性でも扱えるシンプルな構造とすること」と。

設計開始から戦争を挟んで13年後の1948年、パリでデビューした2cvは当初パリジェンヌから「みにくいあひるの子」や「ブリキ小屋」などと汚名を着せられたそのスタイルは、あまりにも斬新過ぎ時代を先取りしすぎていたデザインだったのです。しかし、エンジンのパワーアップや幾多の改良を重ねた2馬力は1990年までの長きに渡り600万台が生産された大ベストセラーカーとなっていくのです。ちなみに2馬力とは当時のフランスでの自動車税の課税システムで「CV」という単位がそのまま最終型機までネーミングとして残ったものです。ジブリ映画を見ていると「2馬力」と出てきますが、あれは現在でも宮崎駿氏が愛してやまずに乗り続けている正に「シトロエン 2cv」の名前なんですよ。

で、早速その知り合いの方にお会いして購入即決!コンディションも最高状態の逸品の彼女は個人売買で当時の流通価格の3分の1で譲ってくれて、その上手数料なしの信用取引を約束に分割払いまでしてくれたのです。まったく有頂天とはこのことでしたね。散々読み倒した2cv関連の本のおかげでその場で引き渡された彼女に乗り込むも、ダッシュボードから水平に伸びる奇妙なシフトノブにも迷わず操って、2気筒602佞糧麥呂僻狃のパラパラ乾いたエンジン音にご機嫌をうかがいソフトな乗り心地を楽しみながら蜜月の日々が始まり・・・。

人生初のマイカーはこんな彼女でした。当時デジカメもまだ無く、一眼レフでとった写真も何故か数少なく白黒のポジが数枚出てきたのみ。スキャンしてのアップです。大方20年前の彼女の横の車は、ワタシの悪友でも親友でもあるY氏の「日産・テラノ」。この車もマニアなオーダーで「2ドア・ガソリン仕様・MT」と日本に恐らく100台も無い設定だろう希少車。そんな変わり者どうしはおっさんになっても何も変わらず・・・ですが。

でも、いつも思うんです、昨今のモノヅクリに対するアプローチやコンセプト無き使用者不在の劣悪な開発や変わり映えしない横一列で横柄なデザイン。そこに人間の情熱や感性といったある種マニアックでヒステリックなほどの思い込みはもはや現在のデザインには不要の長物なのでしょうか?何も奇抜なモノを欲しているのでは決してありません。何故かココロくすぐられるモノたちがあまりにも現れない。利便性やコストばかりが先行しそこに人の思いが足りない、というか入っていない製品や商品ばかり。デザインしないことがデザインのような風潮の世の中。それは外面ばかり追っているから・・・中身の完成度や熟成・吟味によって最終的に必然的なフォルムやラインが生まれてくるはず。そこにいささかのエッセンスやエスプリのようなものを塩・コショウのようにピリッと効かせてあればアンテナや触手は伸びるとワタシは信じて止まないのだが・・・。

その後、彼女とは2年と短いお付き合いでしたが、いまさら忘れる事の出来ない癖のあるあの感覚を再び味わいたいと、ふと思う今日この頃。長文駄文にお付き合い頂きアリガトウゴザイマス。「ヒトとモノ」って何だろう?
2013.03.31 Sunday

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コメント
最近相棒になりうるものはなかなか生まれてきませんね。

零細なわれわれ業界には逆に向いているかもです。
  • 武珍
  • 2011.07.17 Sunday 13:29
いやー、懐かしい君の愛車を久しぶりにみて、コメント書いてます。
君は大学生、僕は浪人生!?お互い免許は取ったものの車を買う金もなく
(超ーーー車運転したかった!)
毎晩、君の部屋で厚い中古車雑誌見て夢を膨らましたのが、懐かしいです。

君がやっとの思いで、この車を手して、乗せてもらおうとドライブ!
1Kmもたたずエンスト・・・。夢のドライブが終わった記憶があります。
(エンジンオイルが調子悪かったっけかな!?)

去年、ヨーロッパに出張した時に2CVを見かけて君のことを思い出しました。
僕は今ではATのCUBEに乗る。「ただ」のドライバーですが、
いつかは「縦目のベンツ」に乗ってみたいものです!
また、ドライブしましょう!
  • BOSS
  • 2011.07.17 Sunday 20:25
懐かしい・・・
夏なのに窓全開にして新御を走ったのを思い出した!
珍しい物好きの私が乗せて欲しいと言ったのかな。(その辺は覚えてない)
最近、職場のホテルにピカピカ(に見えた)のシトロエンが止まっていて
「お〜!い○○さん」と密かにほくそ笑んだわぁ。
最近の出来事だがら、すごいシンクロだ
  • conge
  • 2011.07.18 Monday 10:07
まさか ココで昔の愛車を紹介されるとは・・・
それも 変わり者よばわり・・・ (オイラたちにとっては褒め言葉?)

でも、ほんとうに懐かしい一枚。
君が 大学構内で、2CVを熱く語ってくれた事、
当時 カヌーやキャンプをしまっくてた事、いろいろ思い出しました。

最近のクルマに限らず、メーカーがつくる モノ は どうしても
プロダクトアウトな感が強くあじけない・・・
メーカーだけでなく、それらを求めるユーザーが少なくなってるのも 現実。

世の中、いろんなモノが増え 便利になってるけれど 一昔前のほうが
不便さの中にもいろんな工夫や楽しさがあり、モノ を大事にする気持ち
や愛着があふれかえってた様に思う。
その辺の気持ちなんかが、デザインにも反映されてたんやろうなぁ。
  • Yorizo
  • 2011.07.18 Monday 15:21
武珍さん・・・

ジュエリーも然り、様々な家電製品や、ワタシにとってはまさに「クルマ」などはホントに「これ欲しいっ!」ってモノ無いです・・・残念。

関西の宝飾業界は衰退の一途ですよ・・・どうしましょう・・・。
  • cornet
  • 2011.07.18 Monday 20:12
BOSSさん・・・

懐かしいよなぁ、もう20年ばかり時は経ちましたが、ホント毎晩飽きずに金も無いのに中古車雑誌見ては喜んでたあの青春時代が昨日のように思い出せる。台風直撃の中、レンタカーで「ロードスター」借りてドライブしたのも思い出しました!

で、エンストしたのかどうか覚えてないけど、交差点のど真ん中で止まって、アクセル開けちゃったもんだから燃料がかぶっちゃったんですよ・・・。2cvはホットスタート苦手なんですよ。

で、「縦目のベンツ」じゃぁなくて「縦目のグロリア」でしょ!
「クルマはおどしっ!」ってな。
  • cornet
  • 2011.07.18 Monday 20:21
congeさん・・・

あれぇー、あの車に乗ったことある!?スミマセン、ワタシ全然記憶にございません・・・。しかも新御走った?そうそう、今の車みたいにエアコンなんか付いてませんから真夏の昼間になんかとてもじゃないけど運転できない。ちっちゃい扇風機に天井にすだれつけて走ってた(笑)。あの車を見て、皆、ワタシを思い出すようです。また乗ってみたいけど、最近はとんと見なくなりました、あのブリキ小屋。
  • cornet
  • 2011.07.18 Monday 20:27
Yorizoさん・・・

ちょうどあの頃「ワゴンR」が発売されて、「いいなぁ」とか「GTロマン」とか、ほとんど車の話ばっかりしてましたなぁ、授業も受けずに。今でも何にも変わりませんが・・・(笑)。卒業後、念願かなって互いに車所有して、キャンプにカヌーに、よく遊んでましたな、懐かしい!

でも、懐古主義やノスタルジーに浸る訳では無いけれど、互いの仕事についても言えることで本当に良いモノとか、愛着のあるモノってホントに少ない。残念なことだけど時代と言えばそれまで。ワタシらみたいな人間は不便さから工夫したり、壊れたら修理することも面白い事なのに、昨今は直すより新品買った方が安いだなんて、再び安物掴まされて、その繰り返し。これはいつまでも続けてたらいけないし、人の感性は育たないし良いコトなんて何にも無いはず!だから頑固にこの気持ちを持ち続けながら、後世に伝えていくこともしないと「ヒトとモノ」の関係は限りなく希薄になるでしょうね。何だか良く解らないけど無性に悲しい・・・。
  • cornet
  • 2011.07.18 Monday 20:42
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