2013.03.31 Sunday

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2011.10.29 Saturday

LYRE HARP brooch 完成


今日は暑くも無く寒くも無く、良い加減の過ごし良い日です。こういう日は年に何日あるのでしょう?彼岸花の撮影以来峠には走りに行ってないので(六甲山は走りましたが一人では無かったので安全運転で、いやいつも安全運転ですよっ)こんな日にドライブしたいもんですが、まぁ大概予定っちゅうモンは入る訳でして・・・。お出かけではありませんので家に居ますが、夕刻より営業も有りなのでデザイン描いてます。んでも来週には車検があり(もう2年っ!早すぎます)代車は来ますがATなので峠っていっても楽しく無い訳で。

まあまあ、そんなコトより「LYRE HARP brooch」完成の巻き、です。いつも通り詰めたデザインはやらずに作り込みながらのフィニッシュです。久しぶりに「ジュエリー」って感じのお仕事でしたね。おおかたセオリー通りに進められるので、いつものギミックのような知恵熱や頭痛はありません(笑)。でもガッツリ6日掛かりました。ほぼK18YGで弦の部分はプラチナで作りました。ツクリそのものはオーソドックスですが唐草をはじめ、ミル打ちや伏せ込み、マット仕上げ、葉脈の彫など、いろんなコトを詰め込んで。

プラチナの弦は下部のみロー付してあり上部は0.5mmの穴に通してあるだけです。何故かと言いますと細い線材は両端をロー付で固定してしまうと、地金の戻ろうとする力がロー付の際の熱で発生してアチコチに踊ってしまい収集が付かなくなるのです。しかも並んだ線がうねると見た目に非常に汚いです。弦の上部はひっかけても危なくないように八面体のパーツにさらに釈迦玉をロー付してあります。ブローチパーツも服に着けていない状態でも見えにくいように縦に取り付けました。

ちなみにロー材はプラチナの弦のロー付以外は「750L1」です。一番母材に近い温度で溶けるいわゆる「渋い」ローなのですが、経年変化での色変化が一番少ないのであえてそのような方法をとりました。ロー付箇所の多いデザインでは特に唐草モノなどは接点の色が変わって目立つので。

しかも、いつものギミック作品よりフェイスブックの「いいね!」ボタンの数が多い!?喜んで良いのかはたまた・・・微妙な心境。でも、皆さんに支えて頂いて感謝であります。その他、オーダー品完成や製作中がありますので今後アップ予定でございます。「フクシア・・・」の記事を読み返してみると「今月(10月)中に完成を見たい」だなんて書いてますが、何のことは無い、全然触れてないし・・・(笑&泣)。教室の生徒さんの作品も載せたいし現状オーダーが数点有り。やはりこのまま今年が終わっていく予感タップリ・・・。週明けから11月かぁ。
2011.10.27 Thursday

LYRE HARP brooch 2


毎朝、起きぬけに必ずするコト「今日も一日、お願いします」と手を合わせる、それと裏庭側の掃出し窓と玄関を開けて空気を流す。暑くても寒くても天気が良くも悪くも毎朝同じコトから始まります。で、やはり一番に解るコトは「気温」。一昨日、関西で木枯らし1号が吹いたそうで、今朝も10度と寒く、日々の寒暖の差もさることながら一日の間でも昼間は暑かったり、と繰り返して季節が移ろいでいます。10月も下旬、鬼が笑いそうですが今年も残すは正味1か月。なぜなら師走は通常の1カ月とは比べものにならない勢いで過ぎていくので・・・。

さて、「LYRE HARP brooch」はお知らせ通り完成・納品済みですが中盤の工程を一枚。先ず眼に入るは「シトリン」。ちょっと変わったカットですが納まり良く座っております。で、唐草に葉っぱと釈迦玉(小さい地金を炭の上で溶かすと表面張力でほぼ球体になります、これを彫金屋は「シャカダマ」と言います)が付いてより装飾的に。そして、「腰」も付けました。「腰」とは強度や高さ・立体感を出す等々、様々な要素で付け加える部分のことで、このブローチの場合ほぼアウトラインをなぞって二段に重なっている部分がそれです。べったり地金を張ると付目も上がりますし見た目にもモッタリしますので間に「桟」(さん)を渡して軽く尚且つ強度を出しつつボリューム感を増していく、昔からの技法の一つです。

ブローチに限らずペンダントでもリングでもデザインによって、または作り手によって変わってくる部分でもあります。あまり前からは見えないトコロにも作り手のセンスと矜持が現れる最もシビアな部分でもあるとワタシは思っていますので、妥協せずに作り込んでいきます。次回は完成状態でのご紹介を。

さぁ、今年はワタシ個人にとっては大変な速さで1年が過ぎ去っています。やり残したコトや進んでいないコトが山ほどあり、もう思っていたスケジュール通りには進捗しそうにありません・・・。が、お伝えしたい仕事や作品製作や日々の出来事も、たくさん有り過ぎて思うように記事に出来ないでいますが、これらもボチボチ時間の許す限りアップしていきますね。さて、明日は教室の日です。「明日も良い仕事をしようではないか!」と路面電車に跳ねられた日の石工との最後のガウディの言葉・・・。
2011.10.24 Monday

技能フェスタ@神戸国際展示場


本日は二十四節季「霜降」。読んで字のごとく霜の降りる季節、まぁ旧暦ですが。にしてもやっぱり気温は高めかな?関西の紅葉は昔に比べると1か月ぐらいずれ込んでる感じ。12月になって紅葉っていわれてもなんとなく風情もないですが・・・。

さて、昨日は先輩職人さんのウチボリさん(この方「なにわの名工」です)にお誘いいただいていた「技能フェスタ」なるものに出かけました。これは兵庫県ならびに神戸市のあらゆる職種の技能士、いわゆる職人さんの組合からなるものがその技量促進や一般の方に体験して頂く催事で、それでもお堅いものでは無くまさに「フェスタ」お祭りのようで、バーテン・パティシエ・石工・左官・組み木・洋裁・板金などなどホントに多種にわたる職業のプロフェッショナルが集うものです。そのなかに貴金属加工もありまして、ここではシルバーのリングを作りましょう、という体験イベントを開催。次から次からその体験の予約者でいっぱいで、それは黒山の人だかり、でした。

もちろん、体験ということや組合の催事とあってその料金が安いのも魅力で参加者が多いのですが、小学生からご年配の方まで、その多くは女性です。これだけジュエリーが売れない時代に在っても女性というのは年齢を問わず「ヒカリモノ」がやはり好きなんですね(笑)。今まで仕事で地方の宝石屋さんの前に彫金机を置いてサイズ直しや新品仕上げなどをする「出張」は経験がありますので作業しているトコロを見られるコトには慣れている、というか抵抗は無いワタシですが、組合員でないワタシは「見学」ということで、まぁ早い話が「邪魔」しに行った訳です。

こんな感じにロー付の体験やらペーパーでの磨り出し・刻印打ちなど体験してもらう訳ですが、小学生の女の子が興味津々で作業してその眼をルンルンにしている様は可愛らしく、コチラもモノヅクリの楽しさを知ってもらえるコトが嬉しい瞬間でしたね。で、いよいよ忙しさもピークに差し掛かり何となく変な空気が・・・。とうとう出番がやって来てしまいました、はいっ、先生役です。遊びに来ただけなのにぃ・・・と思いながら想定内。小学生の女の子相手に一緒にリングを作りまして。普段教室もしております故、いつもと変わらず「仕事」しちゃいました。リング内側のその女の子の刻印を見て喜んだ笑顔は、ココロの栄養ですね。

で、こんな職人さんも↑。「ベジタブルカービング」です。テレビでは見たことがありましたが、実際見るのは初めて。スイカやウリ(?)に施された見事な彫刻、綺麗で思わず写真撮っちゃいました。小刀のようなものでそれは鮮やかな手つきで彫り出していきます。何でもその道のプロはカッコいいですぅ。

と、こんな日曜日、楽しかったですね。モノが売れない混沌としたこの時代、これらの仕事を一目見ようと来場する人々、きっと何か「スゴイ」ものを見に来たんじゃないですかね。将来を担う子供たちにも様々な職業の存在と未来の自分の「仕事」のある種糸口が掴めたら、とても意義深い「フェスタ」だと。霜降前のアツイ空間でした。
2011.10.22 Saturday

LYRE HARP brooch 1


秋晴れが続いた今週、でも週末は雨。気温も寒かったり汗ばむほど暑かったりで着るものの調節を上手にしないとあっという間に風邪なんぞひいてしまいそうです。それよりなにより今週のワタシは頭痛と肩こりに悩まされておりまして・・・こんな形で年齢を知るとは思いませんでしたが、ちょっと細かい仕事が続いて「眼精疲労」からヒドイ頭痛なのです。スリ板の上の仕事は眼鏡をかけていると近すぎるし、粉受けの皿の中を見ると見えない、そんなもので眼鏡を掛けたり外したりを頻繁に繰り返している為だと、完全に「老眼」の始まり、いやはや、もはや若くは無いのだよ、アナタ・・・。

最近はあまり飲まなかった頭痛薬もコレは飲まずにいられず、朝飲むも効かず昼にも服用、しかし一向に治まらない。どうしたものかと湿布などハリハリ。ワタシの親ほどの年齢の生徒さんに話すと「肩こりやわぁ」って、肩揉んでもらって・・・恐縮デス、マッタク。ものの10分であの痛みから解放!とうとう「整骨院デビュー」か!?点す習慣の無い目薬も「ナントカ40」みたいなヤツを購入し、仕事中に使用する有り様。そろそろ健康に気を使わないと無理の効く年齢ではございませんな・・・。

さて、また前書きが長いですが、個人分のオーダーを溜めて「フクシア・・・」やっててはアキマセンのでオーダーをば製作中、ってか本日完成いたしましたので順番に記事にしてまいります。今回は「LYRE HARP brooch」って何っ?はいっ、日本語ならば「竪琴のブローチ」でございます。ハープという楽器にはその歴史から様々な種類があるようで、現代音楽のそれと言えば床に置いて演奏する大型のものですが、これにも「グランド」「ケルト」「アルパ」「ルネッサンス」など細分化されているようです。

「LYRE HARP」リラハープというのは膝の上に載せて演奏できる小型のハープ。イメージなら天使が持ってるヤツと言えば解りやすいかな。ということでいきなり枠のツクリが進んだ写真で(撮り忘れでする)全高、んっ、測り忘れてるな、40mmぐらいです。例によって線材による寄せモノですが、シンメトリーがムズカシイですね、こいうのは。パーツの状態で同じパーツをワンセット作るのですが、寄せてロー付するや否や何処か変形します(熱による金属の元に戻ろうとする性質)。唐草や線モノの寄せモノはこの現象はつきものですから、根気よく修正しつつ組み上げていかなければ完成までは到達できません。

基本的な材料は0.8mm・0.6mm・0.4mmの丸線をローラーで潰したもの、3種類です。線の寄せモノは先ず軽量化出来る事、そして組み方やロー付箇所によってはそれなりの強度が確保出来る事が大きなメリットですね。まぁ、何よりワタシがこの手が好きなんですがね(笑)。

とういうことで2・3と記事を進めますが、この後もリフォームやらサイズ直しに新品仕上げ等々、あっ、コインペンダントもあります。「フクシア・・・」は一体何時やるんでしょうか?でも、いわゆる「修理モノ」もワタシ達の重要なお仕事、これらの作業の進め方なんかを紹介してるトコロもあまりないかと思いますので、写真を撮り忘れない限りご紹介できたらと思います。

明日は先輩職人さんの仕事にチャチャを入れに(嘘です)神戸まで見学&勉強会です。晴れますように、最近出かけると雨ばっかだからねぇ・・・。
2011.10.16 Sunday

ローマコインの謎解き


今日は車の往来も少なく電話も掛からず、天気は上々、そよ風優しく、静かなで穏やかな良き一日。でも昨夜の雷雨は凄かった。時間的にはあっという間で雷も一回コッキリでしたが・・・これがあまりにも近すぎた。ピカッと光るや否や「ドゥォッカーンッ!!!ゴロッゴロッゴロォゥ!!!」ひぇーっ、おっかねぇったらないですよ、至近距離の雷様は。やっぱり親父と同じぐらい怖い・・・(笑)。

さて、「フクシア・・・」に振り回されて個人注文分をホッタラカシテいると納期が迫ってきました、ヤバい。で、急ぎでは無いですがコインペンダントの注文を頂きました。っていうか作品ばかりツクってたらアキマセン、お仕事しましょっ!こちらもおいおいアップしますが、ちょっとレアなモノを預かりましたのでイロイロとネットで調べてみると・・・。

ローマコインです、初めて見ました。コインペンダントは大概どっかの国の記念金貨なんですが、良いですねローマコイン。ワタシ、実は歴史は苦手でございまして、特に外人さんの名前は最近のハリウッド俳優でさえ覚えられない始末。故に調べたものは全てネットの情報の受け売りでございまするが、まぁ、謎解きのようなもので楽しかったのでちょっとご紹介いたします。


さて、預かりましたモノはローマコイン1枚とアルファベットオンリーの簡易な説明の書かれた小さな紙。「JULIAN 2・361-363・EFにD N FL CL IVLIANVS・・・」と何だか暗号めいたモノが書いてあり、とりあえず「ローマコイン」だのこの暗号をそのまま検索すると・・・。

ユリアヌス2世(=ジュリアン=カエサル?)
直径20mm 重量3.3g
EF=Extremely Fine 極美品
BC361年〜363年までシスキアで鋳造

などなど、ふむふむ。どうやらローマ皇帝(?)のようですね(あってる?)。表面は真珠の戴冠を付けたヘルメットをかぶり、楯と鉾を持つ左向きのユリアヌス2世。調べてみるとBust Left、すなわち左向きのコインは圧倒的に少なくほとんどが右向き。そしてこの時代のコインは大きさで4種類に分けられるようでAE1~AE4と、1が大きく4が小さい。1・2は金貨・銀貨、3以下は銅貨です。

現クロアチアのシサクという街がローマ時代の「シスキア」という名で、ここで鋳造されていたようで1st,2ndとあるので鋳造に前期後期があるみたい。で、肝心な「D N IVLIANVS・・・」の暗号は全訳は出来ませんがそれぞれが省略形で刻印されていて、コインの肖像を説明・讃えるような内容で「IVLIAN」はジュリアンのラテン語、「AVG」と最後にあるのですが「尊厳なる者」という意味らしい。あとは「幸運な」とか「敬虔な」とかそんな意味。

で、裏面にも刻印がありまして「VOT X MVLT XX」。これは当時の政権が統治10周年とかそんな意味で、ある意味記念コイン(?)なのか。これがヤシのリース(月桂樹=ローレルとも)の中の刻印で、本来なら一番下に鋳造所の刻印があるようですが打ち抜きがオフセットになっていて切れてしまっています。

と、ツクル前に調べてみましたが1600年以上前のローマ人が使っていたモノを21世紀のワタシが触って、尚且つペンダントにしちゃおう、っていう、古代ローマ人はさぞかし思いもよらなかったはず。結局歴史的な背景はローマ帝国がどぉの、暗殺がこぉの、なんややっぱりさっぱり解らしまへん。コインそのものは流通量が多いようで目が出るほど高いモノではありませんが、古の異国人とちょっと繋がってみるのもオツなようで。
2011.10.13 Thursday

今昔対極製作法


すっかり夜が長くなって静かな時間が増えた、ちょっとうれしいワタシ。読みかけの本を何冊も「積読」にしたまま・・・。でも、食材も色々美味しくついつい食べ過ぎて、さらに静かで心地良い気温はワタシを睡魔にいざない、重たい瞼で記事更新。

さて、(←ココまで書いて12日は睡魔により断念、ココより13日再会→)ワタシのブログリンク先のおなじみHOPEさんが6月にこちらに来られて、そして再来阪です!年に2度もお会いできるとはウレシイ限りの3度目の対面。大阪と名古屋で電話やメール、それこそブログでコメントカキコミし合っているのでもう何度も会っているかのような感覚、不思議な出会いの彼ですが、これまたワタシ達の周りでも繋がりがありまして。

ワタシの大先輩職人Kさんに「面白い人がいるから紹介したるでぇ」と機会を待っていたところ、HOPEさんのお知り合いの方が同一人物。何とも世の中は狭いモノで、「じゃぁ、都合を合わせて一緒にお会いしに行きますか」と、その方は「NANOIST」のヤマサコさん。Kさんのお知り合いですのでお仕事は勿論「宝飾加工」なのですが、多彩なアイデアと研究から物凄いアイテムのアクセサリーも作られておられます。そんなもので工房へお邪魔致しました。
トップの写真はチタン製のリング。戦闘機のネジなどに使われる非常に硬い材料を、およそ宝飾加工では使わない道具を駆使して製作されており、そのほとんどを出し惜しみするでもなくコチラの質問に答えてくださいました。チタンリングのカラフルな色は着色では無く電気的に酸化させて発色させてあり、電圧の変化でレインボーカラーが可能になるそうです。

材料に関してはチタンをはじめステンレス・樹脂・紫檀黒檀などの有機物系と様々。金属の加工は旋盤は勿論、ワイヤー放電まで・・・ほとんど精密加工の工場にある機械だらけ。ワタシの父は精密加工の職人兼営業兼経営者なもので、昔からこの手の機械や油のにおいなど見知ったモノですのでその点では驚きはしませんが、アクセサリーにコレらを使用しての加工はまさしく精密加工。が故に製品の仕上がりも抜群に綺麗ですし、部品的なイメージかと思いきや有機物とのマッチングでこれまた優しい雰囲気も。

↑コレはレーザー溶接機。一度だけ使ったことがありますが、宝飾加工の現場でも最近は見かけるようになった非常に便利なマシーン。ロー付出来ない場合のピンポイントでのトモヅケが可能で、持つことが可能なら欲しい一台。しかしながら乗用車が一台買えるお値段、ワタシなんかには到底無理(泣)。工房もビックリするほど綺麗に片付いており、仕事の基本はやはり整理整頓に掃除だと痛感いたしました。なんやかんやお話を伺ってあっという間のタイムリミット。貴重なお時間を割いていただきアリガトウゴザイマシタ!

んで、お出かけでございましたので今回は手料理でのおもてなしは出来ず、HOPEさんと外食。帰宅後はちょっとお酒を飲んで、お題は「デジタル談義」。PCがどぉの、スマホがどぉの・・・互いに手作業が生業のアナログ人間でも昨今のガジェットには興味深々。でしたが翌日にもお会いする方がありましたので早めに就寝、といっても1時過ぎてたかな・・・。


翌日伺ったのは、大阪ではもう2件しか無いという錫器を製作されている、今井章仁さんの工房へ。お伺いするや否やとっても素敵な純和風の自宅兼工房、お香の香りが一層雰囲気を醸し出しておりましたが、それとは裏腹にとても柔和で気さくな今井さん。材料となる錫合金の合わせから加工前の板材加工・曲げ加工や鋳造の型枠、ロー付、キサゲかけなどなど、一通り伺っていざ工房へ。写真は茶器の一つ「なつめ」。拭き漆による色上げに紫陽花の毛彫りが繊細です。

こちらは急須。エッチングによる意匠の松とその際に出来る梨地の表面処理。注ぎ口と取っ手のバランスも何とも言えない美しさ。

硝酸腐食(だったと思う・・・)によるエッチング処理に伴う素地の梨地アップ。

大阪の伝統産業「錫器」加工はワタシの中では完全にロクロによるいわゆる削り出しだと思い込んでおりましたが、意外にも鋳造・ロー付の作業が下加工のようで、その後ロクロにくわえて鉋のようなキサゲで表面を剥いていくそうです(時間の都合上、加工中を拝見出来ず)。何代も続く仕事場のロクロのベルトの先には木製のプーリー、現役でございます。
キサゲもご本人が把握してないほどの数が・・・これは出ている分だけ、数百本あるそうですっ。今井さんにもお忙しい中お時間を頂きましたこと御礼申し上げます。

で、最後にワタシの父の会社見学へ。コレは予定外で行きましたがね。しかし、いろんなモノヅクリをされている人がこの日本にはまだまだたくさんいるんだなぁ、先人の知恵や道具を守りつつ仕事をする方、はたまた先進のマシンを使いこなして新たな可能性を求めて仕事をされる方、その対比に驚きつつ他人様のツクル現場を訪れて、実際に眼で見てお話を伺うことは、また引き出しの数を増やし、今後のワタシの製作にも大変有益な肥やしとなり、有意義な時間を過ごすことができました。

しかし、やはり「モノをツクル」ことへの追究や研究、楽しみは共通言語なのだと解っていながら再認識ですね。温故知新に一意専心。人の手が作り出す心意気や技量・矜持を感じてもらえる作り手にワタシもなりたい。
2011.10.10 Monday

Movie  "A biplane in a pocket watch" &"A mechanical cicada"


金木犀があちらこちらにその芳しい香りを放っている良いお天気の3連休、皆さんお出かけされましたか?ワタシは「フクシア・・・」を何とか進めたい一心でガンバリました、が・・・リニューアル工事に最後の最後で失敗、トホホでございまして。しかし、もうココまでやってダメなら元から切っちゃいましょう、エイっ!って全くの新作中、不思議と悔しくも無くココロ晴れやかに作り直し中でっす(笑)、また後日報告をば。本日は動画2本アップのお知らせです。

先日購入したミラーレスカメラ"NEX-5"にてハイビジョンムービーを撮影いたしました。さすがに綺麗です。この手のモノの進化は留まるコトを知らないようで、ホントビックリですね。相変わらず外を走るクルマやワタシの息遣い何かが入っておりまして(You TubeではBGMも色々用意されていてチョイスできるのですが、なんとなく合うものが無く)いかにも素人臭い映像ですが、ギミックジュエリーの本質を見ていただくにはやはり動画、ということで大変遅くなりましたがご覧くださいませ!!!



「トケイヒコウキ」と「メカセミ」です。画像では見ていただいておりますが動かすとこんな感じです。「フクシア・・・」も完成後にムービーをアップいたしますし「蓮の花・ペンダント」もハイビジョンムービーで撮り直しましてアップいたしますね。

さて、今週はあの方が再びいらっしゃいます、大阪へ。そして、新たな出会いがありまする、とても楽しみな一週間になりそうですわ!!!でも、刷り込みとは怖いモノでせっかくの良い香りがどぉしても「トイレの芳香剤」になってしまうのは、実に悲しいかな。
2011.10.05 Wednesday

フクシア・ペンダント 11


あぁ、もう10月。いきなり寒いし、今年も残り25%。さてさて、今日は午前中に予定していた京都市美術館に「フェルメールからのラブレター展」と「ワシントン・ナショナルギャラリー展」に行ってまいりまして、朝早くに出たのでまだゆっくり観ることができましたが、帰る頃には20分待ちの入場制限。美術館なんて2年ぶりぐらい、久々でしたが西洋絵画は何がしか頭に入れないと、歴史や風俗みたいなものが解らなくて、やはり意味合い的に理解しづらいですね。単純に絵画としては美しいですが・・・。

しかし、やはり日本の美術館は入場料が高い!こういうものは普段からちょくちょく行くことが出来るようにもっとお安くすべきだと常に思いまするが・・・ヨーロッパのミュージアムは日本のそれとは比較にならないほど規模が大きく、ノンフラッシュなら撮影も可。その上、美大の生徒がイーゼルとキャンバスを持ち込んでオープン中にもかかわらず模写に励んでいる、なんとも違いがあり過ぎ。まぁ、もっとも日本人はこういう場所でのマナーなどお構いなしのオバチャンだらけでいただけないこと極まりなし。カッコ悪いし情けない、残念。

と、何故か出かけると雨にやられているワタシですが、個人のオーダーがあるんだけど「フクシア・・・」の続きやってまして・・・仕事しないと、ですね(ここのところ、よくコレ書いてる?)。で、花弁可動部の全面リニューアル工事も進んで、今この状況。以前のスリット・カム方式からラックアンドピニオンの極短版に変更。コレが一番良い形状かワカリマセンがとりあえず穴を開けて強度が減るのは防げています。

花弁もロー付して仮組まで進んではおりますが、1gちょっとの花びら4枚を動かす力は結構なもので、コレの解決策としてネジでの上下スクリュータイプで製作予定。ここまで何となく時間が掛かりすぎてるのと横やりやらで・・・。今月中には完成を見たいです、次に掛かりたいのでね。

今年は人との出会いが非常に多いですが、今月ははたまた多くの方にお会いしてお話を伺う予定。これらの縁は大事にしていきたいです、ワタシの知らないことや新境地へのいざない、うん、楽しみです。雨だけは降りませんように・・・って、雨男じゃぁ無いですし、ホントに。
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