2012.02.29 Wednesday
Violin Brooch 9
さて、今日は4年に一度の365日+1日の「うるう年」。ワタシ、今の今まで「うるう年」と「夏季オリンピック」が同じ時だと知りませんでした。厳密に言うとイロイロ計算があって違うらしい・・・ような違わないような?よくワカリマセンが「うるう秒」とかもあるし。1秒多くなる時があるそうで・・・何でも地軸の傾きが関係してるらしいが、やっぱりようワカラン!?まっ、いっかぁ。
とりあえず4年に一度だから記念にブログアップしとこ、ってなもんでVol.9になりました。セミやら蓮の花に比べたら随分早く進んでいるように見えるかもしれませんが、実際はいつも通りのトライアンドエラー全開で、脳ミソをひねくり倒してる時間の方が長いです、やっぱり。でも、シルバーとは違ってゴールドは切るも削るも仕上げるも何かと楽チンです。ロー付してもイエローゴールドなら強度が保たれますし、酸化防止剤を塗布しておけば少なからず真っ黒にはなりませんしね、でも焼き鈍しは入ります、はいっ。
必要枚数の歯車を回転比率と減速に従い数枚は大小をロー付して、ヴァイオリン本体の中に納まるように仮置きしながら、同時に他のギミックの可動範囲と納まり位置も考慮しつつギアケースの形状を決めていきます。で、ケースの強度と本体へのマウント位置に出来るだけ干渉しないようダボピン用の受け穴も考えて、ケース自体も見た目のライン取りをしつつ・・・。と慎重に進めていっても思わぬ落とし穴がソコラ中に潜んでいますので、コレは毎度のコトですからその都度修正しながら。
と、蝶をスライドさせる思ったよりロングなアーム部分まで進みました。が、コレもこの時点ですでにケース内側に干渉していますので修正・・・(汗)。大きな問題はスライドしながら90度回転させて起立させる部分、イメージは出来てますが果たして上手く出来るのかはやってみてからのお楽しみ、というか頭痛・・・。コレも毎度かっ!
と、作品ばかりはイケマセン、本業、ホンギョウ、ガンバリまっせ!ツヅク。
2012.02.26 Sunday
Violin Brooch 8
このところ雨が多いですね。もうすぐ2月も「逃げ」3月。3月も「去る」であっという間に春が訪れるのでしょう。その前の季節の変わり目の「三寒四温」でしょうか、この雨は。と言ってもやはりまだまだ寒い日が続いて先日の出先の神戸では帰りにボタ雪に見舞われました、やはり大阪より寒いっ。庭のクレマチスも強剪定後、新芽はまだ芽吹かず、桜も紅葉もまだ準備中、今春こそ桜が咲いてほしいものです。
さて、先日テレビで日本人初フェラーリーをデザインしたデザイナー奥山清行さんが出演されていたのですが、デザイナーの仕事の本質について「モノに満たされた現在において生活の質や精神的な豊かさの為に諸製品を卓越した技術をもって消費者に届けること」だと言っていて、番組終盤で「本当に良いモノは大切に使うし、手入れもし、壊れれば修理しても使う」ということを一着のジャケットを引き合いに話され、「安かろう悪かろうは卒業し、良いモノを見分けられる眼をユーザーはもっと勉強しなくては」と肘当てやカケツギの「味」にも言及されていました。
ワタシも然り、あらゆるモノヅクリに携わるいわゆる「職人」は洋の東西を問わず金持ちはいないでしょう。何故なら己が仕事に「矜持」をもってのみ修練しているからで、逆に言うと金銭にはそれほど執着しない部類の人種であったり、また、商売っ気が無いと言うかセルフプロデュースが得意で無い類の人が多いのだと思います。しかし、これだけ不況が続くと製造業においては真っ先に工賃が削られるコトが大半で、モチベーションも仕事のクオリティも下がるかその仕事を受けないか、受けてもコストに見合う仕事しかしなくなる、ということが景気と同じようにマイナスのスパイラルに落ちていき、作り手も使い手もどんどん「本物」や「良質」なモノを見定める資質を低下させて・・・。
やれやれ、なんか時々こうやって愚痴っているワタシがいるコトにブログを書いてると見えてきます・・・。でも、とにかく作り手側は仕事が来るのを待っていてはこのご時世メシを食うにもオボツカズ、ココは自分を売り出して「こんなモノが出来ますよっ!」ってそれこそプロデュースする能力も必要とされてきていると、個人的には思ったり思わなかったり・・・(笑)。
さぁ、ヴァイオリンvol.8「歯車作り」の巻です。今回はオールK18ですので歯車もゴールドでございます。↑写真は単品での仕上がりで、これらをギミックや減速に従って組み合わせて使っていきます。で、これまでのシルバーのそれとはちょっと作り方を変えてみました。何が違うかというと歯車の歯の形状です。今までは歯割した谷の部分は単に三角に磨り出していたのですが、少し慣れてきたのでより時計の歯車のように作り込もうと歯足を長く取り、スムーズに進ませる為の「インボリュート曲線」までは到底いかずとも多少歯先を曲線に磨り出してみました。そうするとやはり答えは良い方向に!
今回は何と歯車自体の作り直しは「ゼロ」!。噛合わせの調整は勿論しましたがソレも時間が掛からずに修正できました。何でも積み重ねておくものですね。
切り出し前の歯車のケガキ後のK18の板材、厚み0.2mm。最小の歯車外径は3mm。歯割したケガキの間に3種類の太さの異なる糸鋸刃を使って切り出して、「ササバ(笹刃)」という極薄のヤスリをさらに薄く加工したもので形状を整えていきます。どこからヤスリを入れ始めたのか解るように一ヵ所に油性ペンでマーキングしてから。「ブンマワシ」というケガキ専用のコンパスで同心円をけがいていくのですが、どうにもこうにも老眼がかかってきたワタシには長時間のこの作業でさえ集中力が低下しており・・・ビタミン配合の目薬は必須アイテムです。デジタルノギスももう使えないサイズですが0.1mmの誤差がとっても大きいので慎重に。ということで只今ギアケース製作中。
今年のジュネーブモーターショーはヒットな感じのクルマがたくさん出品されているようで、その中に「コレぞっ!」というクルマを発見してしまいました!!!買い替えも出来ないのにPCのモニター越しにニヤニヤしているワタシ・・・いやはや、欲しいならしっかり稼ぎなはれっ、ってね(笑)。
2012.02.19 Sunday
陽光と寒風とリズム
30年前、神戸ポートピア博覧会が開催された人工島「ポートピア・アイランド」、通称「ポーアイ」。その島と本土を結ぶ「神戸大橋」のたもとにある「北公園」からその橋の裏側を望む。構造物のフォルムや連続する各部パーツのリズム感がワタシをいつも魅了する。久しぶりの陽光に小雪ながらに寒風の吹きさらすこの場所は、春夏秋冬・昼夜を問わず何度も何度も訪れている。でも、特にひとけの無い冬の海が何故か好き。
ゆらりゆらりと波止場に停泊する無人の船、他人の会話の無い海辺で聴く来ては帰る波の音。冬の柔らかい光が水面をランダムに照らし出し・・・はるか沖の水平線を行きかう小さく見える大型船。
何も考えない、何もしない、ただただ、のんびりと過ぎていく時間を楽しみながら・・・。
と、何となくセンチメンタルにさせる海を予定の済んだ後にちょっとだけ訪れてみました。
2012.02.17 Friday
Violin Brooch 7
毎日寒いですね。連日の夜更かしがイケナイリズムを作り出して遅寝の遅起きで、いやでも寒い朝に寝床から出るのがツラいのに・・・おまけに昼間も眠気が襲うし、何だか集中力も欠いていて。これではダメです、ちゃんと規則正しい生活に戻さねば作品にもその影響が現れてしまいそうだし・・・気を引き締め直して。
今週もひきこもり製作中ですが、先輩のお弟子さんからお呼び出しがかかり・・・何やらと思えば何と「ガトー・ショコラ」。そうバレンタインですぅ!!!しかも手作り・別作、一品モノです。それから教室の生徒さんからも高級な生チョコを頂きまして♪もてるオトコはツラいです、なんちゃって(笑)。でもホントにウレシイです、アリガトのゴチソウサマでした!なのにチョンボです、食い気に負けて写真撮り忘れた?!
そうこう言っても言わなくても2月が半分過ぎて、今月は記事3回目、少ないです。本業は相変わらず厳しい状況で、ほとんど世界恐慌の様を呈している経済を真正面から見据えてもワタシ個人のチカラなど及びもしない現況、なら開き直って自分のツクリたいものをじっくりツクって将来に貯金しておこう、と思いながら作品製作をば続けておりまする。が、なかなかに進みません、これも相変わらずのいつも通りですが。
というわけでVol.7ですが、青焼きは見事に粉砕!いちから設計見直しです。問題はただ一つ、ヴァイオリン本体が小さすぎて蝶を含むギミック関係が納まらないコトです。一度に3方向の動きがある為にギミックが重なり合い厚みが出てしまうのです。なので丸一日CPUをフル回転させて機構そのものをソックリ変えました。それから蝶の羽の開閉パーツも唐草に干渉していたので、唐草を一部削除いたしまして・・・。とりあえず蝶の納まりと各ギミックの最薄化で何とかなりそうな模様(って、ほんとかなぁ)。
で、蝶のギミックは完成したものの、他パーツとの兼ね合いでロー付やカシメの作業に掛かれないので歯車から攻めて、納まりを考慮したギミックワンパーツの作業に取り掛かっております。が、その前にもう一つアタマを悩ませたのが各運動パーツの連動をひとつの動作で完結させるためのギアの回転比率の一定化の作業。文章では全然解らないと思いますが、蝶が本体からスライドしつつ直立させながら顔を出して、羽をてふてふ開閉させながら60度から90度ぐらいの範囲で左右に振らせる、この一連の動作を各部パーツがワンモーションで連携させるために大きさの違う歯車の回転数を合わせなければならないんです。って説明してもやっぱりわかんないですね(汗)。
ま、とにかくケースに収めるために極力小スペース化とシンプルな構造を書きなぐっているのがヴァイオリンの下のコピー用紙。ワタシの今までのアイデアスケッチやちゃら図面はみんなこの無罫線・ノングリッドの白紙のコピー用紙。徒然描きつけていくものだから後で見返した時にどれが最終案か解らなくなってるコト多々ですが、真っ白でないと何だかやりにくいんです、へんなコダワリですが。というコトで歯車製作中、ずいぶん慣れたものでほぼ1日で所定数完成。これからギミックケースに入っていきます。
来週は大阪市内で各種ルースの展示販売会があります。久々ですがちょっと覗いてお気に入りがあれば購入しますかね、金も無いのに・・・。
2012.02.09 Thursday
Violin Brooch 6
このブログも来たる5月で満3年、4年目を迎え、記事数も200を超えました。小学生の時から「国語」は万年3の成績で読書も作文も苦手なワタシがよくもココまで続いたものだと。一冊の小説ぐらいは書いてるのですかね?でも、今日はいつものように天気や時事ネタなんかの枕文が思いつきません、こんなコトは初めて。ココまで書き出しに30分悩んでしまいました・・・。こんなコトもありますかぁ。
毎日生きていますから何がしか出来事はありますし実際ありましたが、このところひきこもりがちで作品製作ばかりしていて玄関から出るのが一週間に一回なんて不健康な日々、イケマセン。作品もギミックに入った途端、進捗が極度に鈍化しおまけにミスが増えて作り直しも幾度となく。せめて散歩か気晴らしの峠ドライブでもと思うのですが、寒いのと山道は凍っているだろうから、となかなか外に出るきっかけもつくれず・・・ちょっとスパイラル気味。新鮮な空気を吸いに行かねば。
と、写真も恐ろしくシロトビしており、ちょっと感性も鈍っているのが自分自身よくわかる感じですが・・・。とにかく今週記事無しも何となくイヤなのでガンバッテ「蝶」完成させましてアップでございます。写真でおわかりの通り左右の羽が蝶胸部で別れてクランクで上下2mm弱の運動が羽ばたきの運動に変わります。「てふてふ」な感じは出ました、ふーぅっ。
オーバーフローな電流と抵抗係数の違う貴金属の仮着は大きな火花と作業に似つかない音でその電着面は大きく損傷し、ロー付によるテクスチャー入りのピンクゴールドは酸化防止剤を以てしても真っ黒に変色し・・・なによりヴァイオリン本体の蝶が出てくる予定の窓はそれより小さくかつテールピースや弦に干渉する有り様。完成はしたけれどどうしたものか、これから思案しなくてはなりません、いつもながらに我がミニCPUは知恵熱というオーバーヒートに襲われるコト必至!!!
仕事部屋は寒いのにヒートシンクが必要なのかも。
でも、楽器からニョキっと出てくる「てふてふ」をてふてふさせるイメージは出来上がっていますので何としてもてふてふさせてやりまするぞっ、っと思いつつシエスタとったのにもう眠たいそろそろ日付が変わる時間・・・オヤスミぃ。
2012.02.02 Thursday
Violin Brooch 5
1月もあっという間に過ぎて、もう2月になってしまいました。夕刻5時前には真っ暗だったのに5時半頃までほんのり明るくなって日が伸びているのを仕事部屋の西の窓から感じます。しかし、それと引き換えに寒さは日を追うごとに増して、サッシの換気窓がヒューヒューと音を立てて一層寒さが際立ちます。でも、それぐらいでヘッタクリは言ってられない今冬の厳寒と大雪。各地の積雪は記録を更新し、事故や交通機関の乱れなどその影響はとても大きいようです。今年もまた自然の脅威の前に我々日本人は立ちすくむ他無いのでしょうか?どうぞ皆様も慌てず急がず、怪我や風邪など無いように防衛くださいませね。
さて、週末から昨日まで色んな方からお電話やメール、スカイプなど頂いており、夜中の1時2時まで話し込んだりで朝ちゃんと起きれてないし、ブログの更新も止まっちゃいまして。でも、ワタシを案じてくださる方、近況を報告してくれる方、久々のバカ話に今後の仕事について、などなど・・・たくさんの会話をすることでとてもココロ軽やかになりまする。ホントに有り難いコトでございます、感謝・感謝!!!またコメント・メールをくださいました方々にはお返事遅くなり申し訳ありません。
と、本業はまるで忙しくなく、ちょこちょこと修理やリフォームがあるばかりで、あっという間に片付いてしまいますので作品製作にもっぱら時間を割いております。時間のある時は新たなモノや普段出来ないコトに挑戦するのにモッテコイですし、無駄にしないようにしないとモッタイナイですね。でないとワタシ、ココロが弱いのでダラダラと過ごしてしまいそうで・・・。と、いつも通り脱線気味の話を元に正しましょう。「ヴァイオリン・・・」の続き、vol.5になりました。
ヴァイオリン本体はとりあえず最終組み立ての留め部分を残して完成しましたので、その中に納まる「アゲハチョウ」をツクリました。地金は「蓮の花・ペンダント」の蓮の花に使ったピンクゴールドが少し残っていたのでソレを再利用(?)、というか蝶ならピンクが綺麗かなって単純な発想(汗)。と、やはり薄手のモノなので硬い地金が好都合。0.2mmをきっているだろうぐらいの板厚の材料から蝶を切り出して・・・さてさて、どんなふうに仕上げるか?と、思いついたのが以前大先輩から教えて頂いたテクスチャー。
ということで出来上がりましたのが写真↑の蝶。奥の羽が半分畳んでいるのは一発目のスタディー、というか失敗作・・・。気に入らなかったのでやり直ししたのが手前。模様の部分を艶消し処理してあります、が、いつもとはちょっと方法が違います。ブラスターでも無くダイヤモンドポイントの荒し処理でも無く。コレは極小の凹みの集合体、っていったらいいのでしょうか?ようは細いモノで無数に叩いていく、とこうなるんです。で、最初はそれこそタガネでヘッチラオッチラと叩いていたのですが、これではらちがあかない、時間が掛かり過ぎるし集中力がそこまで持たない、そりゃそーだ。
で、針先がぶれないようにパイプに板のスタンドを垂直につけてやってみる、も、下書きが見えなくなるしたいして時間短縮にならない。思い出したのはリューターの回転運動を上下運動に変える「アタッチメント」。しかし7万も8万もする高価なモノ、買えないし・・・。ならツクっちゃえ〜っ、と。出来たのがとんでもなく不細工なコレ↓。
真鍮の板と丸線で切って貼ってロー付したり挟んだり・・・と試行錯誤の末がコノブサイク加減。仕組みはリューターの回転軸を偏心させて、その偏心軸を細いスリットにはめて上下方向にしか可動しない加工をしたパイプに通る丸線を強制的にその運動方向を変えるというもの。正式な名称だと「スコッチ・ヨーク」という運動変換方法。カムの亜種みたいなものです。で、その先に超硬の針をセットしていざ回転、いやいや振動?!そうそう、道路工事の土やアスファルトを叩いて絞めるアレと同じです。回転の速度や当て込む強さなどイロイロテストして良い感じを掴めたのでホンチャン加工。と、打っているうちにどうしても先がヘタってきて同じテクスチャーを付けていくのがムズカシイ・・・。で、また思いついたのが、実は写真に映っておりますが超硬の反対側に付いた「メレダイヤ」。先のとがったお尻の方「キューレット」を上にして瞬間接着剤でくっつけてリトライ。ふふーんっ、出来るじゃん!とキズミを覗きながら両面にテクスチャーを施しました。見る角度によっては光ったり、マットになったりと面白い効果がでました。よしよし。
と、悪戦苦闘の末ほぼ完成を前に大先輩からお電話。現状報告すると「ええ道具あるでぇ、しかも格安で」って、ググってみますればホントだぁ。数千円で買えるじゃぁないですか!!!「早よ電話しといでぇなぁ」、まったくでございますわ(泣)。世の中良い道具があります、ちゃんと調べれば・・・ムムムっ。とりあえずコレはコレで完成しましたので良しとして、次回はこの便利な道具をネットでポチって購入いたしまする。
まぁ、でも、金が無いなら知恵を絞って道具もツクレばコレはコレでいとおかし。それでも時間的工賃を鑑みるに数千円ではできないかぁ・・・。ウレシイやらカナシイやら。ツヅク。
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